おひとり女子くるみです。
金融庁の金融審議会が出した報告書の「老後の必要資金2000万円」が注目を浴びていますね。
老後の生活は年金だけでは足りないなんてことはずっと言われてきたことなのに、今回の報告書がニュースになるや、国民の不安をあおって、ここぞとばかりに営業攻勢。
良質なものから悪質なものまで、あらゆる金融商品が便乗商法で売り上げを伸ばしているらしいです。
NISAやつみたてNISA、iDeCoなどの、ほとんどの人に恩恵がある制度が広く知られて、利用率が上がるのは好ましいことです。
でも、外貨建て生保や、信託報酬が0.5%を超えたり手数料が高すぎる投資信託といった、金融機関しか儲からないような悪質な商品まで飛ぶように売れているというから驚きです。
老後に金銭的な不安を抱えているのなら、まずはその不安の正体を暴いてみませんか。
不安になるのはなぜか
そもそもですが、なぜ不安なのか原因を考えたことがあるでしょうか。
芥川は、友人にあてた手紙の中に自殺の理由を書きました。
少くとも僕の場合は唯ぼんやりした不安である。何か僕の将来に対する唯ぼんやりした不安である。
不安は、未来に対しての単なる妄想です。
未来がどうなるのか分からず、何か良くないことが起こるのではないかと、ぼんやりしているから不安なのです。
人は、よく分からないものに対しては恐怖を感じるようにできているのです。
なので、人は過去の出来事に対して、悲しいことがあった、苦しいことがあったと感じることはあっても、不安になることはありません。
過去の出来事が原因で不安になるとしたら、それが未来に悪影響が及ぼすことを恐れているだけです。
つまり、はっきりとしていないから、よくわからないから不安になるのであって、何が起こるのかはっきりしていれば、人は不安にはならないのです。
不安のあまりに、よく分からないまま言われるがままに、悪質な金融商品に投資するような暴挙に出ることもなくなるでしょう。
将来のことは確かに、不確定要素が満載です。
でも、予測がつくことだって沢山あるはずです。
ある程度予測がついてしまえば、不安はそれに応じて消えていきます。
前が何も見えない霧の中を進んでいくのは怖いです。足がすくみます。
なら、なるべくその霧を払ってあげればよいのです。
金銭的不安の原因
では、将来に対して金銭的に不安になる原因は、具体的にどんなことがあるでしょうか。
定年までに大金を貯金できないから?
いつクビになるか分からないから?
いつ健康を害して働けなくなるか分からないから?
突き詰めていくと「稼ぐことができなくなる」ことと「貯めることができない」ことの2因ではないでしょうか。
でもこの2因を考える前に、いくら稼げばよいのか、いくら貯めればよいのか分かっているでしょうか。
金融審議会の試算では2000万円という数字が出ていて、この数字ばかりがクローズアップされていますが、これはモデルケースのひとつでしかありません。
100人いれば100人の試算があってしかるべきで、誰もが2000万円必要な訳ではないのです。
あなたは、自分の老後にいくらぐらい必要なのか計算したことがありますか?
恐らく、計算したことなどないのではないでしょうか。
だから不安なのです。
いくら稼げばよいのか、いくら貯めればよいのかが分からないから、どうすれば良いのかも分からなくて不安になるだけなのです。
老後の必要額を試算する
それでは、不安の正体を暴いていきましょう。
①月の支出額を確認する
まずはここからスタートです。
今現在、月にいくら使っていて、年間総支出はいくらでしょうか。
もし、把握していないという場合には、把握できるように支出の記録をつけるようにしましょう。
とりあえずは細かい記録は不要です。
大枠が分かればよいので、支出のたびに記録するのが大変ならば、現金がいくら減ったのかと銀行残高がいくら減ったのか、場合によっては電子マネーの残高など、支出を把握するためには何を確認すれば良いのか押さえておきましょう。
②定年後の支出額を試算する
この定年後の生活費が、基本となります。
もちろん将来どうなるかは分からないのですが、一般的には現役時代の7割程度に減額するといわれています。
単純に7がけで試算してみても良いですが、今の支出の内訳が分かっているのなら、今だからこそ必要な支出というのもある程度分かるのではないでしょうか。
今は仕事上の交際費が多いかもしれませんが、定年後はかなり減るはずです。
子供がいるなら、大学卒業まではお金がかかるけれど、その後は不要になります。
おひとりさまであっても、今は都内で高い家賃を払っているけれど、定年後に田舎帰れば家賃が激減します。
このように、確実ではないかもしれませんが、予測できることはあるはずです。
一度、試算をしてみましょう。
③定年後に見込める収入額を試算する
次は、定年後に高確率で見込める収入を試算してみましょう。
退職金がある場合には金額を確認します。
不動産収入や株の配当など、持っている資産から得られるであろう利益も確認します。
定年後の収入予定額から支出予定額をひけば、いくら必要なのかがわかります。
もちろんこれも予測額ですが、安定した投資をしていれば比較的予測しやすいはずです。
逆に言えば、将来が不安なら、FXや株の短期売買といった不確定要素の多い投資は控えるべきです。
信託報酬の安いインデックス投信にしておきましょう。
④年金の見込み額を確認する
自分がもらえる年金の見込額を知っているでしょうか。
もし、今まで一度も調べたことがないという方は、この機会に調べて見ましょう。
日本年金機構のQ&Aを参考にしてください。
年金を支払っても、将来もらえる見込がないから払わないほうが得だという理論が根強くありますよね。
試算してみれば、払ったほうがどう考えても得だということが分かります。
もちろん、長生きせずに人生を終えるなら、損になることもあります。
早死にすると決まっているなら払わない選択肢もあるでしょうが、今の日本では、今の平均寿命より長生きする可能性のほうが高いのが現実です。
⑤シミュレーションする
材料が揃ったら、あとはいろいろなバージョンでシミュレーションしてみてください。
寿命が70歳、80歳、90歳、100歳と変化するとどうなるでしょうか。
定年時の貯蓄額を変えてみたらどうなるでしょうか。
案外大丈夫そうだと安心する方もいるのではないでしょうか。
逆に、マイナス額の大きさにびっくりするかもしれません。
でも、不安の正体は少し姿をあらわしてきたのではないでしょうか。
いくら足りないのかが分かれば、破綻しないためにはどうすれば良いかを考えることができます。
ではお金が足りない時にはどうするか。できることは2つです。
収入を増やすについては、なかなか書けていませんが、支出を減らすについてはこのブログでもたくさん記事を書いています。
所有欲がなくなれば、お金は自然と貯まりますよ。
お金なんてなくても、楽しく幸せに暮らす方法はいくらでもあります。
そこに目を向けるか向けないかだけの違いではないでしょうか。
明日は、お金がなくても楽しく生きる方法のひとつとして、趣味の話を書きます。
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